問題
問31
企業のIT戦略において、経営目標とIT投資の方向性を整合させるための活動全体を指す言葉として、最も適切なものはどれか。
- ビジネスプロセスリエンジニアリング
- ITサービスマネジメント
- ITガバナンス
- システム監査
正解
正解は「ウ」です。
解説
この問題の正解は「ITガバナンス」です。ITガバナンスとは、企業が経営目標を達成するために、IT投資やIT活用の方向性を管理・統制する仕組み全体を指します。企業が利益を上げたり、持続的に成長していくためには経営戦略とIT戦略を一致させることが欠かせません。例えば、経営が「顧客満足度を高める」ことを目標に掲げているのに、IT部門が効率化だけに投資してしまえば、両者がかみ合わず成果は限定的になります。これを防ぐために、ITガバナンスでは「経営が求める成果とITの方向性を揃える」役割を果たすのです。
日常の例に置き換えると、会社全体を大きな船とすると経営層は船の進む方向を決める船長、IT部門はその船を動かすエンジン担当のような存在です。船長が北へ向かいたいと言っているのに、エンジン担当が西へ向けて出力を出してしまったら目的地には到着できません。ITガバナンスは「船長の指示とエンジンの動きを合わせる」仕組みと言えます。
また、ITガバナンスは単にIT投資の管理だけでなく、リスク管理やコンプライアンスの遵守も含まれます。例えば、セキュリティ対策を怠ると情報漏えいにつながり、企業価値を損ねる恐れがあります。そのため、ITガバナンスでは「IT投資が経営目標に役立つか」「リスクを適切に抑えているか」を常にチェックするのです。つまり、経営とITを結びつけ、企業全体が正しい方向に進むための重要な役割を担う概念だと言えます。
ア(ビジネスプロセスリエンジニアリング):
業務手順を抜本的に見直して効率化や品質向上を図る手法であり、経営目標とIT投資を整合させる活動全体を指すわけではありません。
イ(ITサービスマネジメント):
利用者に提供するITサービスの品質を維持・改善する管理手法で、ITILなどのフレームワークを基盤とします。IT投資と経営戦略全体を結びつける活動ではありません。
エ(システム監査):
情報システムの運用や管理が適切に行われているかを第三者的立場から評価する活動であり、戦略的にIT投資の方向性を経営目標と整合させる仕組みではありません。
解法のポイント
この問題を解くためには「経営目標とIT投資を結びつける」というキーワードに注目することが大切です。業務改善(BPR)、IT運用管理(ITサービスマネジメント)、監査は部分的な活動ですが、経営全体との整合性を担保する仕組みは「ITガバナンス」だけです。ITガバナンスの定義をしっかり覚えておくと、類似問題にも対応できます。
用語補足
ITガバナンス:
経営戦略とIT投資の方向性を一致させ、リスクを管理しながらITを活用する仕組みのことです。企業が目的地に向かって正しく航行するための「舵取り」の役割を果たします。
ビジネスプロセスリエンジニアリング:
既存の業務フローを抜本的に見直して、効率化や顧客満足度向上を狙う手法です。例として、紙の書類による承認フローを完全にデジタル化する取り組みなどがあります。
ITサービスマネジメント:
提供するITサービスの品質を高めるための管理活動です。例えば、サーバ障害が発生したときに迅速に復旧する仕組みを整えることなどが該当します。
システム監査:
情報システムの運用や管理が適切に行われているかを、第三者的な立場から確認・評価する活動です。会計監査のIT版と考えるとイメージしやすいです。


