問題
問77
以下の表は、ある企業の四つの事業(A~D)の市場成長率と市場占有率を示している。ボストンコンサルティンググループが提唱するプロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)に基づいて、将来的に「金のなる木(Cash Cow)」となる可能性が最も高い事業はどれか。
| 事業 | 市場成長率 | 市場占有率 |
|---|---|---|
| A | 高 | 高 |
| B | 高 | 低 |
| C | 低 | 高 |
| D | 低 | 低 |
- 事業A
- 事業B
- 事業C
- 事業D
正解
正解は「ウ」です。
解説
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)は、企業が複数の事業を持っている場合に、それぞれの事業を「市場成長率」と「市場占有率」という2つの軸で評価し、どの事業に経営資源(ヒト、モノ、カネ)をどれだけ配分すべきかを考えるためのフレームワークです。PPMでは事業を「問題児」「花形」「金のなる木」「負け犬」の4種類に分類します。このうち「金のなる木(Cash Cow)」は、市場の成長率が低く、しかし自社の市場占有率が高い事業を指します。すでに市場が成熟しているため、これ以上の大きな成長は期待できませんが、安定して高いシェアを持っているため、多額の安定した収益を生み出します。この安定した収益(キャッシュ)は、他の将来性のある事業(例えば「問題児」や「花形」)への投資資金として活用されることが期待されます。提示された表を見ると、事業Cは「市場成長率:低」で「市場占有率:高」という特徴を持っていますので、PPMの定義に最も合致する「金のなる木」である可能性が高いと言えます。
ア(事業A):
事業Aは市場成長率も市場占有率も「高」いため、「花形(Star)」に分類されます。花形は将来性が高い一方で、成長を維持するために多額の投資が必要となる事業です 。
イ(事業B):
事業Bは市場成長率が「高」く、市場占有率が「低」いため、「問題児(Question Mark)」に分類されます。問題児は今後の投資によって花形に成長する可能性もあれば、負け犬になる可能性もある事業です。
エ(事業D):
事業Dは市場成長率も市場占有率も「低」いため、「負け犬(Dog)」に分類されます。負け犬は収益性も低く、事業からの撤退を検討すべきとされる事業です。
解法のポイント
PPMは、企業の事業ポートフォリオを評価し、経営資源の最適な配分を決定するための重要なフレームワークです。市場成長率と市場占有率の二軸で事業を分類し、それぞれの事業特性を理解することがポイントです。特に「金のなる木」は、他の事業への投資原資となる重要な役割を担います。
用語補足
プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM):
企業が持つ複数の事業や製品を「市場成長率」と「市場占有率」の2つの軸で評価し、どの事業に資源を集中させるかなどを戦略的に決定するための分析フレームワークです。例えば、ある家電メーカーが冷蔵庫、テレビ、ロボット掃除機の3つの事業を持っているとして、それぞれの市場での位置づけを客観的に評価し、経営資源の配分を最適化する際に用いられます。
金のなる木(Cash Cow):
PPMにおける分類の一つで、市場成長率は低いが、市場占有率が高い事業を指します。安定した収益を生み出し、投資をあまり必要としないため、他の成長事業(問題児や花形)への資金源となります。例えば、成熟した市場でシェアの高い日用品ブランドなどがこれに該当します。
花形(Star):
PPMにおける分類の一つで、市場成長率も市場占有率も高い事業を指します。将来性が高く、大きな収益を生む可能性がありますが、競争も激しく、さらに成長させるための投資も多く必要です。例えば、急速に普及している新しいスマホアプリ事業などが該当します。
問題児(Question Mark):
PPMにおける分類の一つで、市場成長率は高いが、市場占有率が低い事業を指します。将来性はあるものの、現在のところ市場での存在感はまだ小さく、今後の投資によって「花形」に育つか、「負け犬」になるか見極めが必要です。例えば、新しい技術を使ったベンチャー企業の初期段階のサービスなどがこれに当たります。


