問題
問89
企業が持続可能な社会の実現に向けて、環境保護や社会貢献などの活動を経営に取り入れることによって、企業価値の向上を目指す経営の考え方はどれか。
- IR(インベスターリレーションズ)
- 内部統制
- CSR(企業の社会的責任)
- コーポレートガバナンス
正解
正解は「ウ」です。
解説
「CSR(Corporate Social Responsibility)」は、「企業の社会的責任」と訳され、企業が自社の利益を追求するだけでなく、事業活動を通じて社会や環境に対して負う責任を果たすことを指す経営の考え方です。具体的には、環境保護への取り組み(省エネルギー、廃棄物削減など)、地域社会への貢献(寄付、ボランティア活動など)、公正な労働環境の提供、消費者保護、適切な情報開示などが含まれます。
これらの活動は、単なる慈善活動ではなく、企業のブランドイメージ向上、従業員のモチベーション向上、顧客からの信頼獲得、投資家からの評価向上など、長期的な視点で企業価値の向上につながると考えられています。例えば、アパレル企業が児童労働を排除したサプライチェーンを構築したり、プラスチックごみ削減のためにリサイクル素材を使った製品を開発したりする取り組みがCSRの一例です。
ア(IR(インベスターリレーションズ)):
「IR(インベスターリレーションズ)」は、企業が投資家に対し、経営状況や財務情報などを積極的に開示し、良好な関係を構築するための活動です。社会貢献活動を直接指すものではありません。
イ(内部統制):
「内部統制」は、企業が経営目標を達成するために、業務の有効性・効率性、財務報告の信頼性、法令遵守などを確保するための社内体制や仕組みのことです。
エ(コーポレートガバナンス):
「コーポレートガバナンス」は、企業の不正行為を防ぎ、株主をはじめとする利害関係者の利益を最大化するために、企業経営を監視・統制する仕組みのことです。
解法のポイント
企業が社会や環境に配慮した経営を行うという考え方である「CSR(企業の社会的責任)」を正確に理解することがポイントです。CSRは単なる慈善活動ではなく、企業価値向上に資する戦略的な活動として位置づけられています。また、IR、内部統制、コーポレートガバナンスといった経営に関する他の重要な概念との違いを明確にし、それぞれの役割を理解しておくことで、企業の多面的な側面を把握できるようになります。
用語補足
CSR(企業の社会的責任):
企業が、自社の利益追求だけでなく、事業活動を通じて社会や環境に対して果たすべき責任を指す経営の考え方です。例えば、環境汚染の防止、地域社会への貢献、公正な労働条件の提供などが含まれます。商品を開発する際に、その製造過程で環境に負荷をかけないように配慮することもCSR活動の一つです。
IR(インベスターリレーションズ):
企業が投資家に対して、自社の経営状況、財務情報、事業戦略などを積極的に、かつ継続的に開示し、良好な関係を築くための活動です。例えば、決算説明会を開催したり、投資家向けのウェブサイトで詳細な情報を公開したりすることで、企業価値を正しく理解してもらい、信頼を得ることを目指します。
内部統制:
企業が経営目標を達成するために、業務を効率的に行い、財務報告の信頼性を確保し、法令や社内ルールを遵守するといったことを目的として、組織内部に構築される一連の仕組みやプロセスのことです。例えば、経費申請には必ず上司の承認が必要、というような社内ルールも内部統制の一環です。
コーポレートガバナンス:
企業が、株主をはじめとするすべての利害関係者(顧客、従業員、取引先など)の利益を考慮しながら、企業経営を適切に監視・統制するための仕組みです。企業が不正行為を起こさないように、また、効率的で透明性の高い経営が行われるようにするための体制を指します。例えば、独立した立場の社外取締役を置くことなどがこれに当たります。


