問題
問98
企業が、事業活動によって社会や環境に与える影響を評価し、その情報を開示する報告書はどれか。
- サステナビリティレポート
- 財務諸表
- 事業計画書
- 内部監査報告書
正解
正解は「ア」です。
解説
「サステナビリティレポート」とは、企業が自社の事業活動が社会や環境に与える影響(環境負荷、社会貢献、人権尊重、ガバナンスなど)について評価し、その取り組みや成果を公開する報告書のことです。近年、企業の持続可能性(サステナビリティ)への関心が高まる中で、投資家や顧客、従業員などのステークホルダー(利害関係者)が、企業の財務情報だけでなく、非財務情報も重視する傾向にあります。
サステナビリティレポートは、企業が環境問題への対応、地域社会への貢献、公正な労働環境の提供といったCSR(企業の社会的責任)やESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みを透明性高く開示するための重要なツールです。これにより、企業は社会からの信頼を獲得し、長期的な企業価値向上を目指します。例えば、ある自動車メーカーが、CO2排出量削減目標の達成状況や、サプライチェーンにおける人権侵害防止の取り組みなどをこのレポートで公表することで、自社の持続可能性に対する姿勢を示します。
イ(財務諸表):
「財務諸表」は、企業の会計期間における財政状態や経営成績をまとめたもので、主に企業の収益性、安全性、成長性といった財務的な側面を報告するものです。社会や環境への影響を直接評価・開示するものではありません。
ウ(事業計画書):
「事業計画書」は、企業の将来の事業活動の方針や目標、具体的な計画をまとめたもので、主に内部の経営判断や外部からの資金調達のために作成されます。社会や環境への影響の開示が主目的ではありません。
エ(内部監査報告書):
「内部監査報告書」は、企業内部の業務活動や財務報告の適切性、法令遵守などを評価し、改善を促すための内部監査の結果をまとめたものです。企業の健全性を保つためのものですが、社会や環境への影響の開示が主目的ではありません。
解法のポイント
現代の企業経営において重要視されている「サステナビリティ」や「ESG」の概念と、それを外部に開示する手段としての「サステナビリティレポート」の役割を理解することがポイントです。財務諸表が企業の「お金」に関する情報であるのに対し、サステナビリティレポートは企業の「社会性」や「環境への配慮」に関する情報を提供します。それぞれの報告書が持つ目的と内容を明確に区別し、企業が社会に対してどのような情報公開を行っているかを把握しておきましょう。これは、企業の信頼性向上と長期的な成長に不可欠な要素です。
用語補足
サステナビリティレポート:
企業が、環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する自社の取り組みや成果、事業活動が社会や環境に与える影響をまとめて公開する報告書です。例として、CO2排出量削減目標の達成状況、従業員の多様性推進、地域社会への貢献活動などが記載されます。企業の非財務情報を開示する主要な手段の一つです。
ESG(Environmental, Social, Governance):
企業の長期的な成長のために重要な「環境(Environmental)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」の3つの要素を指します。投資家は、企業のESGへの取り組みを重視して投資判断を行うことが増えています。企業の社会的責任を評価する際の国際的な基準となりつつあります。
CSR(Corporate Social Responsibility):
「企業の社会的責任」と訳され、企業が自社の利益を追求するだけでなく、事業活動を通じて社会や環境に対して負う責任を果たすことを指す経営の考え方です。サステナビリティレポートはCSR活動の報告手段の一つです。企業のブランドイメージ向上や信頼獲得に繋がります。
ステークホルダー:
企業の事業活動に直接的または間接的に影響を受ける、あるいは影響を与える利害関係者の総称です。株主、顧客、従業員、取引先、地域社会、政府などが含まれます。サステナビリティレポートは、これらのステークホルダーへの情報開示を目的とし、企業との良好な関係構築を目指します。


