問題
問76
内部統制の監査において、職務分掌の状況を確認した。監査人が指摘事項として監査報告書に記載すべきものはどれか。
- システムの利用申請は利用者が行い、その承認は利用者の上長が行っている。
- プログラムの変更は開発担当者が行い、本番環境への適用は運用担当者が行っている。
- 経費の申請は担当者が行い、その支払処理は経理部門が行っている。
- 取引の承認と、その取引の記録、および関連資産の管理を、すべて一人の担当者が行っている。
正解
正解は「エ」です。
解説
正解は選択肢エです。職務分掌とは、内部統制の基本的な考え方の一つで、業務上の役割や権限を複数の担当者に分散させることです。これにより、一人の担当者が不正行為を行ったり、ミスを隠蔽したりすることを防ぎます。例えば、お店のレジで、売上を記録する人と、実際のお金を管理する人が別々になっているのが職務分掌の良い例です。
もしこれを一人が担当すると、売上をごまかして現金を抜き取るといった不正が容易にできてしまいます。選択肢エでは、「取引の承認」「取引の記録」「資産の管理」という相互に関連し、牽制し合うべき3つの業務を、すべて一人の担当者が行っています。これは、不正やミスの温床となりうる非常にリスクの高い状態であり、職務分掌の原則に反するため、監査人は指摘事項として報告する必要があります。
ア(システムの利用申請は利用者が行い…):
申請者と承認者が分かれているため、適切な職務分掌です。
イ(プログラムの変更は開発担当者が…):
開発者と運用者が分かれているため、適切な職務分掌です。開発者が勝手に本番環境を触れないようになっています。
ウ(経費の申請は担当者が行い…):
申請者と支払処理者が分かれているため、適切な職務分掌です。
解法のポイント
「職務分掌」の目的を理解することが最も重要です。職務分掌は「不正やエラーの防止」のために「役割を分ける」ことです。この観点から各選択肢を見たときに、一つの業務プロセスが複数の担当者によって適切に分担されているか、それとも一人の担当者に権限が集中しているかを見極めます。選択肢エのように、一連の重要な業務が一人の担当者に集中している状態が、職務分掌上の問題点となります。
用語補足
内部統制:
企業の業務が正しく効率的に行われるように、社内でルールを定め、管理体制を構築することです。不正やミスを防ぎ、企業の信頼性を高める目的があります。
職務分掌:
業務上の役割と権限を複数の担当者に分けることです。相互にチェック機能を働かせることで、不正やミスの発生を防ぎます。例えば、テストを作る人と採点する人を分けるようなものです。
監査人:
監査を実施する人のことです。組織の内部の人間が行う内部監査と、外部の独立した組織が行う外部監査があります。
指摘事項:
監査の結果、発見された問題点や改善が必要な事項のことです。監査報告書に記載され、経営層や被監査部門に報告されます。


