問題
問67
ソフトウェア開発委託契約に関する監査において、検収の状況を確認した。監査人が指摘事項として監査報告書に記載すべきものはどれか。
- 委託先から納品されたプログラムが、契約で定められた仕様を満たしていないにもかかわらず、検収合格として処理されている。
- 検収プロセスにおいて、事前に作成されたテスト計画書に基づいて受け入れテストを実施している。
- 納品物に不具合が発見されたため、委託先に修正を依頼し、再納品後に再度検収を行っている。
- 検収の完了後、契約書に基づいて委託先への支払い手続きを行っている。
正解
正解は「ア」です。
解説
正解は「ア」です。検収とは、外部に委託して開発してもらったソフトウェアなどが、契約時に定めた仕様や要件をきちんと満たしているかを確認し、成果物として受け入れるプロセスです。この検収に合格して初めて、発注者は委託先に対して代金を支払う義務が生じます。選択肢「ア」の状況は、「契約で定められた仕様を満たしていない」、つまり約束通りの品質ではない欠陥品であるにもかかわらず、「検収合格として処理」してしまっています。
これは、注文した商品と違うものが届いたのに、確認せずに代金を支払ってしまうのと同じで、発注者側にとって不利益となる重大な問題です。契約違反の状態を見過ごしており、適切な検収プロセスが機能していないことを示しています。したがって、監査人はこの状況を発見した場合、業務プロセスの不備として指摘事項に記載する必要があります。
イ(検収プロセスにおいて、事前に作成された…):
計画に基づいてテストを実施するのは、適切な検収プロセスであり、問題ありません。
ウ(納品物に不具合が発見されたため…):
不具合発見時に修正を依頼し、再検収を行うのは、本来あるべき正しい検収の対応です。
エ(検収の完了後、契約書に基づいて…):
検収合格後に支払いを行うのは、契約に則った正常な手続きです。
解法のポイント
ここでも、監査問題の基本である「指摘事項=問題点やルール違反」という視点が有効です。各選択肢の状況が、「適切な業務プロセス」なのか「不適切な業務プロセス」なのかを判断します。イ、ウ、エは、いずれも契約や計画に沿って適切に業務が進められている状況を描写しています。一方、アだけが、契約内容(仕様)に反する成果物を受け入れてしまうという、明らかに問題のある状況を示しています。この「あるべき姿」と「現状」のギャップを見つけることが、監査問題における正解への近道となります。
用語補足
開発委託契約:
システムやソフトウェアの開発業務を、外部の会社や個人に依頼する際に結ぶ契約です。成果物の仕様、納期、金額、検収方法などが定められます。
検収:
納品された成果物が、契約で定められた仕様や品質基準を満たしているかどうかを検査し、問題がなければ正式に受け取ることです。
仕様:
開発するソフトウェアが持つべき機能や性能、デザインなどに関する要求事項をまとめたものです。契約の基礎となる重要な文書です。
受け入れテスト:
発注者が、納品されたシステムが要求通りに動作するかどうかを、実際の利用者の視点でテストすることです。検収プロセスの一部として実施されます。


